The King's Museum

ソフトウェアエンジニアのブログ。

『7つの習慣』を読んで

今年も月に一冊くらいのペースで本を読んで、ブログに感想を書いていこうと思う。

今年最初の本は『7つの習慣 -人格主義の回復-』。 去年の12月から読み始めたんだけど、FP の勉強があったりしてずいぶんとかかってしまった。

7つの習慣は90年代に出版されてベストセラーになった本(原著は89年の出版だね)。 確か父親の本棚にもあったな。 ずっとビジネス本だと思ってたけど読んでみたら自己啓発系の本だった。

自己啓発本をそれなりに読んだことがあると話題としてはそれほど目新しいことはないのだけど、ベストセラーなだけあってとてもいいことが書いてある。 「よし、やってみるぞ」というやる気も上手に刺激してきて、さすがだなーという感想。 ただ、文量が多すぎるのがちょっといまいちなところかな。 同じ話を5回はしてるんじゃないかな?って感じで、端的にまとめてくれるとありがたいのだけど。

7つの習慣はそれぞれ、

  • 第1の習慣:主体的である (Be proactive)
  • 第2の習慣:終わりを思い描くことから始める (Begin with the end in mind)
  • 第3の習慣:最優先事項を優先する (Put first things first)
  • 第4の習慣:Win-Win を考える (Think Win/Win)
  • 第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される (Seek first to undedrstand, then to be understood)
  • 第6の習慣:シナジーを創り出す (Synergize)
  • 第7の習慣:刃を研ぐ (Sharpen the saw)

というもの。

1~3の習慣は「私的成功 (Private Victory)」、すなわち個人的な成功に繋がるもの。 4~6の習慣は「公的成功 (Public Victory)」、すなわち他人とのコラボレーションの成功に繋がるもの。 そして、第7の習慣で 1~6 の習慣を強化していく。

それぞれの詳しい話はよくまとまってるサイトが他にたくさんあるからそちらへ。

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で、結局、これらの習慣を実践する目的とは何だったのか。 本から引用すると、

7つの習慣は人間が効果的に生きるための習慣である。

ということらしい。

原題は "The Seven Habits of Highly Effective People" だから、この効果的 (Effective) というのが重要そうだ。 効果的とは何か。

本の中では成果 (Production) と成果を生み出す能力 (Production Capability) のバランスを取ることが効果的と定義されていた。

要するに成果を出しつづけるための習慣、といったところだろうか。 そういう書き方をするととてもスパルタな感じになってしまうけど、本の内容はそんなことなくて、どちらかといえば人としてまっとうに生きる、みたいなことがけっこう書いてある。本ではそういう生き方を人格主義(Character Ethic)と呼んでいる(副題にもあるね)。

最近、人としてまっとうに生きるのって大事だなと思うようになってきて、こういうちょっと説教っぽい本も悪くないなと思える。 きっと若い頃だったら途中で読むのやめてたと思うけど、ある程度素直に受け入れられるようになったのは、よくもわるくもいろいろな経験を積んだからかな。

3級FP技能検定を受けたよ

1月23日に3級FP技能検定を受けました。

自己採点結果は、

  • 学科試験:55/60(91.6%)
  • 実技試験:19/20(95%)

でした。6割程度の得点で合格するようなのでおそらくは合格だと思います。

目標は9割得点だったのでギリギリ達成。 『国民年金の付加保険で繰り上げ・繰り下げ受給の増減率が適用されるか』みたいな初見の問題がちらほらあって落としてしまった。 欲を言えば学科の方はもう少し取りたかったけど、勉強した範囲のところはほぼノーミスだったのでよしとしよう。

自分はこの本で勉強しました。 Kindle に対応してる教科書があまり無くて選択肢が少なかったけど、この本は内容が絞ってあってちょうどよかった。 テキスト1周やってあとは問題集3周くらいしたかな。

FP3級 過去問道場🥋 (学科)【完全解説付】|FP3級ドットコム

あと、このサイトにめちゃくちゃお世話になりました。 会員登録(無料)すれば過去の正答率とかも見れてめちゃくちゃ高機能。 過去問も解説で網羅されてる充実っぷり。 これはお金取ってもいいのでは?と思えるレベルでおすすめです。

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このままちゃんと勉強していけば5月試験で2級も受かると思うけど(正答率6割で受かるみたいだし)、一旦 FP の勉強はこれでおしまい。 3級だとほんとに概要を知るだけだけど、単に生活に役立つ知識をつけるだけなら3級をちゃんと勉強すれば十分という感じ。 各種年金の支給要件とか、保険の種類とか、相続とか知らなかったから勉強になった。 自分に関わることは部分的には知ってても網羅的に知る機会はなかなかないからね。

次は証券アナリスト基礎講座をやろうかな。 基礎講座なので簡単そうだけど、基本的な金融商品の知識を得るにちょうどよさそう。 公式サイトで「目安の勉強時間は30時間程度」と書いてあるので3月末までに取得が目標かな。

3級FP技能検定を受けるよ

明けましておめでとうございます。

唐突ですが二週間後に 3 級 FP 技能検定を受ける予定です。 網羅的に生活に必要なファイナンスの知識を身に付けたいなと思って申し込んだ。 もともと人よりはそこらへんの知識はあるほうだとは思うけど。

あとは単に、久しぶりに試験に向けて勉強したくなった。 意識的にこういうことで頭を使っていくようにしないと衰えていく一方だ。 特に記憶力がどんどん落ちている気がする。あらがっていきたい。

問題集などをやってみた感じ受かるだけならかなり簡単そう(合格率8割超えるみたいだし)。 なので、9割得点を目指してがんばります。 そのためというわけではないけど勉強のために iPad Air を買って、それで勉強するのが楽しくていい感じ。

受かったら次は証券アナリスト基礎講座やろうかな(Twitter で誰かがおすすめしてた)。

証券アナリスト基礎講座|日本証券アナリスト協会

そのあとは今までちゃんと経済学を学んだことがなかったので、初学者向けの経済学の教科書を一冊やろうかな。 今年はそこらへんの分野の勉強を主にやってみる年にしたいと思います。

『Team Geek』を読んで

『Team Geek』を読みました。11月の読書。

ちょっと昔に出た本でそれなりに有名な本。 一度、ざっと読んだことはあったけど改めて読み直してみた。

ソフトウェア開発におけるチーミングに関していろいろなことが書いてある。 けど、一番大事なことはチームで働くときに常に次のポイントを押さえておく、というところだろう。

謙虚(Humility)

世界の中心は君ではない。君は全知全能ではないし、絶対に正しいわけでもない。常に自分を改善していこう。

尊敬(Respect)

一緒に働く人のことを心から思いやろう。相手を1人の人間として扱い、その能力や功績を高く評価しよう。

信頼(Trust)

自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば仕事を任せることができる。

頭文字を取って HRT。

自分はなんとなく HRT を大事にしてたつもりだけど、改めて意識しながら日々の仕事をしていこうと思った。

『読書について』を読んで

ショーペンハウアーの『読書について』を読みました。 10月の読書。

ショーペンハウアーの読書に対する考え方が述べられた本。

いかに大量にかき集めても、自分の頭で考えずに鵜吞みにした知識より、量はずっと少なくとも、じっくり考え抜いた知識のほうが、はるかに価値がある。

たくさんの本を多読するのではなく、良書を少しだけ読めと言う。 そもそも、読書自体が自分の頭で考えるのではなく他人の心をなぞるだけでほぼ無価値だ、とまで主張する。

自分はたくさん本を読む方じゃないから、ショーペンハウアーみたいな著名な哲学者がこういうことを言っていると少し勇気づけられたけど、どれくらい信憑性のある話なのかなぁと思った。 こういう歴史的に著名な人の主張って、現代の考え方に照らし合わせるとほとんど根拠が示されてないんだよなー、と思ったり。

根拠の提示された主張だけが価値があるというわけでもないのだろうけど、現代のエビデンス主義に浸かってしまった自分としてはこういう歴史的な思想書を読むとついついそこが気になってしまった。

『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで

『金持ち父さん貧乏父さん』を読みました。9月の読書。

有名な本ですね。 2000 年に初版が発売された時、実家にあったので名前は知ってたけど読んでなかった。 その後もちらほら名前は見聞きするので読んでみるかなーと思って手に取った。

読んだ感想として、特に強く印象に残るものはないなって感じ。 書かれている内容はあまり practical じゃなくて、お金持ちになるためのメンタリティみたいなことが多い。 かといってそこまで強くメンタリティを押すわけでもなく、とりとめなく筆者の成功体験を書いているという感じ。 こうやってふんわり成功体験を書いておくと、いろんな解釈ができて都合よく使えそうだなと思った。 実際、あやしいセミナーの勧誘に使われてるようで Google でこの本を検索すると「やばい」がサジェストされるというw

これでもかというくらい「お金」という単語が出てきて、筆者のお金への執着心はすごいんだろうなと思った。 「欲しいものがあるなら執着を捨てろ」というよくある自己啓発のアドバイスもでてくるけど、結局それも欲しいからこそやってるわけで、深いところでのお金への執着はすごいんだろうなと。 あと、貧乏父さんである実の父(という設定)への dis が本当にすごくて、いろいろとコンプレックスを持っているのかなぁと邪推してしまった。

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いくつか自己啓発的なところで「なるほどな~」と思ったり、資産にキャッシュフローを流すのは確かになーと思うけど、筆者とは根本的にそりがあわない感じだった。 自分のヒーローを持てっていうのはいいんだけど、筆者にとってのそれがドナルド・トランプだったりするのも「お、おう・・・」ってなった。 投資に関していえば自分的には『投資の大原則』のほうがよっぽど役に立つと感じたし、そっちの方が考え方の根本的なところで自分と合うなと思った。もう一度読みかえそうかな。

そういえば、金持ち父さんの最後のほうに、

私が株式売買の仲介を頼んでいるブローカーはよく私に、新製品の発表など、株価が上がりそうな動きがあると言って、かなりの額のお金を一つの会社の株の購入にあてるように勧める。 そんなとき、私は言われたように投資して、株が上がるまで一週間から一ヶ月のあいだ待つ。

とか書いてあって、これって完全にインサイダー取引じゃないの?と思った(本人は違法なインサイダー取引はおすすめしないと書いてたけど)。

物は試しにということで読んでみるのもいいけど、基本的にはあんまりおすすめはしないかな。 同じ話が延々と繰り返されるので内容の密度はけっこう薄い。 自己啓発の意味ではもっといい本がある気がするし、不動産に関しては Soft Skills の最後のほうに書かれてたことのほうがよっぽど practical のような気がしたな。

『メリトクラシー』を読んで

『メリトクラシー』を読みました。8月の読書。

メリトクラシー

メリトクラシー

  • 講談社エディトリアル
Amazon

1958 年にイギリスのマイケル・ヤングという社会学者によって書かれた本。 『メリトクラシー(meritocracy)』という言葉を生み出し、その概念を説明したメリトクラシーの原典ともいえる歴史的な著作。

先月読んだサンデル教授の『実力も運のうち? 能力主義は正義か』で何度も引用されていて読みたいなーと思っていた。 原著は 1958 年に出版され、日本では 1965 年に『メリトクラシーの法則』というタイトルで至誠堂から出版。その後、1982 年に『メリトクラシー』として再度出版されて以降は絶版となっていたようだ。 「どこかの図書館で借りられるかな~」と半ば諦めかけていたのだが、タイミング良く今年7月に講談社エディトリアルから復刊。あいにく Kindle 版がなかったので、紙の本を amazon で購入して読んだ。

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内容はもちろんメリトクラシーについて書いているのだが、「2034 年にメリトクラシーとその歴史を振り返る本」という設定になっている。 要するに、1958 年に 2034 年を想像して、そこにたどり着く一連の歴史を想像して書く、ということをやっている。 そのため、どの部分が史実でどの部分がフィクションなのかを常に考えながら読まないといけない。 それに、イギリスの教育制度や労働運動などの話題が多く出てきて、前提知識がぜんぜん足らないので読むのが結構辛かった。

一応読み切ったが、内容として理解できたのは4割くらいなんじゃないかなという感じ。 正直、翻訳があまりよくないんじゃないかなーと思っていて、amazon のレビューにも同じようなことを書いている人がいた。 ただ、ひさしぶりにこういう内容の固い本を読んだから、自分の文章読解力が低いだけという可能性も十分あるのだけど。

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サンデル教授の本で描かれた現代社会の分断を 60 年も前に描いている点にはかなり驚かされた。 サンデル教授の本のネタの 6-7 割はこの本からきてるといっても過言ではない。 メリトクラシーによって世襲主義をやめ、公平な能力主義に変えたのに、結局、能力の世襲主義に行きついてしまうという指摘はとても鋭い。

ただ、上にも書いたけどいかんせん読みにくすぎるので、サンデル教授の本だけ読んでおけば十分だったかな、と思った。 強いて挙げるならば、古典のすこし固い本を読んだという満足感は多少なりとも得られたかもしれない。

(c) The King's Museum