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『ソフィーの世界 - 哲学者からの不思議な手紙 - 』を読んで

『ソフィーの世界 - 哲学者からの不思議な手紙 -』を読みました。

ソフィーという15歳になる少女に『あなたはだれ?』という不思議な手紙が届き、それをきっかけに読者を巻き込んで西洋哲学の歴史を学んでいくというストーリー。 それにくわえて、物語が進むにつれてソフィーの世界に隠された秘密が明らかになっていき、、、というミステリー要素もある本。 30年前くらいに出版されて世界中で1000万部以上売れたベストセラー。

発売された当時、親が買ったやつがずっと放置されてたのを小学校高学年くらいの時に読んだ。 これをきっかけにけっこう哲学に興味を持ったし、途中で明かされる秘密がけっこう強烈で記憶に焼き付いてる。 でも、けっこう分厚い本だったから途中で挫折してしまった。

ずっといつか読み切りたいと思ってて新装版が Kindle で出ていたので読んでみた。

現在の自分は哲学にはあまり興味がないんだな、と思ったw。 当時はプラトンのイデア論とか「おおー」って思って読んでたんだけど、今読むと「ふーん」って感じであまり興味を持てなかった。 西洋哲学史を学べるという点が売りだったんだろうけど、中高生くらいの読者を意識してるのか説明の比喩が強すぎて全体的に物足りないし、正しく理解できた気がしない。 登場人物の対話形式で物語が進むけど、哲学の講義の部分はほぼ説明口調で進むのもちょっと退屈。

でも、一通り読んでみて、イギリス経験論とか実存主義とかのあたりは自分の考えと近いなと思った。 昔、大学の先生に勧められてサルトルの本を読んだときはむずかしくて理解できなかったけど、こうソフィーの世界の流れをくむと多少は理解が深まったかな。

小さい頃は本の最後の数ページを先に読む癖があって、ソフィーの世界でもそれをやっていたことを思い出した。 ラスト数ページにたどりついたときに、急にその数ページを読んだ記憶が蘇ってきて 20 年かかってここにたどりついたという思いで感慨深かった。

一応読み切ったけど、人に薦めるほどではないかな。 単に西洋哲学史をなぞりたいなら今なら Youtube の解説動画見るとか、漫画で理解するみたいなシリーズのほうが分かりやすそう。 ミステリー要素もちょっと演出がくどいし、物語の半分くらいで秘密が明かされたあとはそれをずっと引っ張って進んでいくだけだった。

ただ、いつかの日かちゃんと読み切りたいなと思ってたのが達成できたという意味で、今年のうちに読めてよかったと思った本でした。

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