The King's Museum

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『あなたのチームは、機能してますか?』を読んで

今週、『あなたのチームは、機能してますか?』を読んだので、簡単に感想をまとめておこうと思う。

あなたのチームは、機能してますか?

あなたのチームは、機能してますか?

この本にはチームを正しく機能させるための手引きが書かれている。 正確には「チームを機能不全にしている性質を理解し、それを除去することでチームを機能させる」方法が書かれている。

『チームは何もしなければ崩壊していくものであり、継続的で徹底した努力がなければ良いチームは維持できない』というところからこの本は始まる。要するに、よいチームを作るにはかなりの努力が必要で、何もしないでよいチームができるわけがない、ということだ。

この本では、チームを機能不全にする性質として5つの性質が挙げられている。

  1. 信頼の欠如
  2. 衝突への恐怖
  3. 責任不足
  4. 説明責任の回避
  5. 結果への無関心

これらの性質は、それぞれの次の性質の原因にもなっている。 すなわち「信頼の欠如」が「衝突への恐怖」を生み、「衝突への恐怖」が「説明不足」を生む、といった具合だ。

ここではすべての性質については述べず、最初の「信頼の欠如」についてだけ簡単に書いておこうと思う。

信頼の欠如

よいチームは互いを「信頼」している。一方、機能不全に陥ったチームには「信頼」がない。

ここでの「信頼」とは、多くの人が普通にイメージする「信頼」とは異なる点に注意しなければならない。 この文脈での信頼とは、「メンバー同士が自分の弱みを見せられ、自分を安心してさらけ出すことができ、激しい議論をしても互いにわだかまりを残すことがない」という意味である。

これは、「いつも質の高い仕事をしているか、何も言わなくても大丈夫」という信頼とはまったく異なっている。むしろ「信頼しているからこそ、お互いの仕事の質に容赦なく文句を言って互いにプレッシャーをかけあう」関係である必要がある。

このような「信頼」がなければ、お互いが弱みを見せようとせず保身に走り、互いに計略を張り巡らせ、政治的なかけひきに終始ししてしまう。チームが機能する前提としてこの「信頼」があり、これがなければチームは機能しない。

この「信頼」をベースとして、他の4つの性質も同様に語られているがここでは割愛。

感想

この本はほとんどの部分がフィクション形式の物語で書かれていて、架空の会社の経営陣たちが、苦労しながらこの「チームの機能不全の5つの性質」に取り組んでいき、真のチームになっていく姿が描かれている。こういう形式のビジネス書を『ビジネスフィクション』と呼ぶらしい。知らなかった。

実際、この機能不全は確かによく目にするものだと思ったが、これを是正するのはかなり大変だという印象を持った。最終章にこの機能不全の5つの性質についての説明が書かれていて、これらの機能不全への実践的な対応策も書かれている。しかし、この対応策を実行できる組織がどれだけあるだろうか?

例えば、先に述べた「信頼の欠如」に対する是正措置として「プライバシーを侵害しない範囲で簡単に個人の歴史を述べ合う」「メンバー同士でお互いの強み・弱みを正直に述べ合う場を作る」「報酬に影響しないことを保障した360度評価を行う」などが挙げられているのだが、ハードルが高いなぁ、と感じた。

それでも「よいチームとはこういうものだ」という理想をなんとなく理解することはできたので、得るものはそれなりにあったと思う。思ったよりも文量が少なく、空き時間に離散的に読んでも二日くらいで読み終わってしまった。

少しでもこういう話題に興味があれば、ぱぱっと読んでしまうのが正解だと思う。 「Kindle なら 1,000円 以下で読めるしお得だな」と思ったけど定価だと 1,700 円か…(自分は半額セールで買った)。

 

 

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